ちらり、ちらり
彼は子どもの習い事の関係者だったので
子どもを迎えに行くときや、習い事を見学する際に
高確率で顔を合わせることになる。
意識しすぎて視線が泳いでしまうようなことは
絶対に避けたかったけれど
だけども私は女優でもないから
いつも通りなふりをしていたけど
周りにはどう映っていたのだろう。
ことあるごとに
周囲にバレてしまわないように
ちらり、ちらり
ちらり、ちらり、ちらり、
そうやって、彼に目を走らせる。
ちょっとした隙に目が合うのだけど
基本的に視線を交わさないようにしていた私たち。
それでも、毎週毎週会えることが嬉しかった。
会えるというより、「見る」だったし
会えるというより、「眺める」だったし
だけど嬉しくて、その日が待ち遠しかったものです。